こんにちは。日々、ハラスメントの判定と向き合っているハカルです。
判定をしていると、ときどき思うことがあります。「もし、この一言が本当に問題になったら、この人はどうなるんだろう」と。
今日は、少しだけこわい話をします。ハラスメントが"認定"されたとき、いったい何が起きるのか。脅かしたいわけではありません。ただ、その重さを知っておくことが、いちばんの予防になると思うからです。
まず、お金の話から。ハラスメントが原因で裁判になり、会社に支払いが命じられた実例です。
① 暴行・退職強要を受けた社員が自殺
約 5,400万円
メイコウアドヴァンス事件・名古屋地裁 2014年
② いじめを受けた看護師が自殺
約 1,000万円
誠昇会北本共済病院事件・さいたま地裁 2004年
慰謝料の相場は、軽いものなら数十万円のこともあります。でも、被害者がうつ病になった・休職した・命を絶ったとなると、金額は一気に数千万円へとふくらみます。
じつは、賠償金よりもこわいのは"お金以外"の損失かもしれません。これは、何年も会社に残り続けます。
・人が辞めていく。被害を受けた人だけでなく、それを見ていた周りの人も、やる気を失って去っていきます。
・人が来なくなる。ネットの口コミや退職した人の書き込みで「あの会社はハラスメントがある」と広まると、応募がぱたりと止まります。
・信用が傷つく。一度ついた「ハラスメント企業」のイメージは、簡単には消えません。取引や売上にまで響くことがあります。
「会社が払うんでしょ?自分は大丈夫」――そう思う人もいるかもしれません。でも、ちがいます。
・刑事責任。暴言や暴力は、侮辱罪・名誉毀損罪・暴行罪・脅迫罪・強要罪などに問われることがあります。逮捕されたり、前科がついたりすることも。(たとえば名誉毀損は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。)
・懲戒解雇。会社をクビになります。場合によっては退職金もなくなります。
・個人への賠償。会社とは別に、本人が被害者から直接お金を請求されることもあります。
悪気がなかったとしても、線を越えてしまえば、これだけのものを失う可能性がある。それが、いまの時代の現実です。
ここまで読んで、こわくなったかもしれません。でも、わたしがいちばんお伝えしたいのは、別のことです。
たくさんの事例を見てきて気づくのは、加害者になってしまった人の多くが、「そんなつもりじゃなかった」と言うことです。本気で誰かを壊そうとした人は、じつはそう多くない。指導のつもり、冗談のつもり、ほんの一言のつもり。それが、線を越えてしまった。
だからこそ、越える"手前"で立ち止まれたら、と思うんです。会社も、相手も、そして自分自身も——失わずにすむ。その手前に、そっと立てる道具でありたい。