こんにちは、ハカルです。「パワハラ」「モラハラ」くらいまでは知っていても、最近は「スメハラ」「フキハラ」「ヌードルハラスメント」なんてものまで出てきて、正直「もう何種類あるのか、誰も把握できてないんじゃ…」と感じている方、多いと思います。
実はこれ、感覚としてはかなり正しいです。ある団体の調べでは、名前がついている「○○ハラ」は50種類以上にもなると言われています。でも、そのすべてが同じ重みを持っているわけではありません。
今日は2026年7月時点の情報で、この数えきれない「○○ハラ」たちを、「法律で決まっているか」という一本の軸で、3段階に整理してみます。全部を覚える必要はありません。「今、自分が気にしているそれは、どのくらいのレベルの話なんだろう」がわかれば十分です。
まず、いちばん重い段階から。厚生労働省がはっきりと「会社が防止のための対応をしなくてはいけない」と定めているのは、次の6つの分野だけです。
パワーハラスメント/セクシュアルハラスメント/就活生などへのセクシュアルハラスメント/マタニティハラスメント/パタニティハラスメント・ケアハラスメント/カスタマーハラスメント(2026年10月〜)
根拠になっている法律は、主に「労働施策総合推進法」(パワハラ防止法とも呼ばれます)と、「男女雇用機会均等法」「育児・介護休業法」の3つ。この6分野については、会社が「知らなかった」「うちには関係ない」では済まされない、というのが今の日本のルールです。
もう少し範囲を広げると、アウティング(同意なしに人のプライバシーを暴露する行為)も、裁判所が「人格権の侵害で許されない」と明確に判断した実例があり、いくつかの自治体では条例で禁止もされています。性のあり方に関する不当な言動や、障害のある方への差別的な扱いも、専用の法律・指針がある分野です。ここまで含めると、しっかりした法的な後ろ盾があるものは10種類以上になります。
次の段階は、ほとんどの人が知っている名前なのに、専用の法律や罰則はまだないというグループです。
モラルハラスメント/アカデミックハラスメント/逆パワーハラスメント/家庭内でのハラスメント/世代・ジェネレーションハラスメント/就活ハラスメント(セクハラ以外)/スクールハラスメント/アルコールハラスメント など
たとえば「モラハラ」。ものすごく浸透している言葉ですが、実は「モラハラ防止法」というものは存在しません。民法の「人に迷惑をかけたら責任を負う」という、もっと一般的なルールで争うことになります。だからこそ、「これはモラハラだ」と断定するより、「モラハラっぽい、しんどさがある」というグレーの実感を大事にするほうが、実態に近いんです。
そして3段階目。ここが、「もう何ハラかわからない」状態を生んでいる、いちばんにぎやかな層です。
ロジカルハラスメント(ロジハラ)/不機嫌ハラスメント(フキハラ)/スメルハラスメント(スメハラ)/テクノロジーハラスメント(テクハラ)/リモートハラスメント(リモハラ)/エアコンハラスメント/ヌードルハラスメント など、30種類以上
こうした名前の多くは、民間の団体やメディアが独自につけたもので、法律に載っているわけではありません。でも、だからといって「くだらない」わけでもないんです。名前がつくことで、「これまで、うまく言葉にできなかったモヤモヤ」に、初めて輪郭がつくという側面があります。「自分だけが気にしすぎなのかな」と思っていたことに、名前と仲間ができる感覚、といったところでしょうか。
この「名前が増え続ける理由」については、もう少し詳しく別のコラムでも整理していますので、気になる方はあとで覗いてみてください。
ここまで整理してきましたが、いちばん伝えたいのはこれです。「これは何ハラ?」と名前を当てることよりも、「今、どのくらいしんどいか」を見るほうが、ずっと大事だということ。
法律で決まっているかどうかは、「会社や相手に、はっきり対応を求められるかどうか」の目安にはなります。でも、名前がまだ①②③のどこにあっても、あなたが感じた違和感や苦しさが「本物ではない」ということには、まったくなりません。
名前の数に振り回されて疲れてしまうより、まずは今、気になっているその一言を、そっと確かめてみませんか。白黒で決めつけるのではなく、グレーの濃さで見えてくるはずです。