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📝 コラム|ハカルの視点

「やめちまえ」は指導ですか?——
部活と学校の、スクールハラスメントの話

文:ハカル(なにハラ!?メーター 判定リーダー)|2026年7月14日

こんにちは。日々ハラスメントの判定と向き合っているハカルです。

夏の大会、コンクール、そして夏合宿——部活動がいちばん熱くなる季節がやってきました。打ち込めるものがある夏は、かけがえのないものだと思います。

ただ、この季節は、こんな声が増える季節でもあります。「顧問の言葉がきつくて、部活に行くのが怖い」「うちの子が『やめたい』と言い出したけれど、よくある厳しい指導なのか、そうでないのか分からない」——。

言われた本人も、見守る保護者の方も、そして教える側の先生も、モヤモヤを抱えやすいのがこのテーマです。今日は、①スクールハラスメントの3つの形、②「指導」との線引き、③実際に事件になった実例と相談先を、順番に整理します。どの立場の方が読んでも大丈夫なように書きますね。

スクールハラスメントとは?——3つの形があります

スクールハラスメントは、学校・教育の場(小中高・大学・塾・部活動など)で起きるハラスメントのことです。大きく3つの形があります。

  1. 先生から生徒への言動——授業中の無視や名指しの嘲笑、「向いていない」「必要ない」といった存在の否定、体罰、長時間立たせるなどの罰則的な行為
  2. 部活動の指導者による言動——怒鳴る・罵倒する指導の常態化、試合に出す・出さないを人間関係の道具に使う、「根性」「伝統」を理由にした理不尽な要求
  3. 生徒どうしの言動——グループでの無視や仲間外れ、SNSでの誹謗中傷、上級生から下級生への強要

特徴は、多くが「指導」「教育」「伝統」という名目のもとで行われることです。名目があるぶん、受けた側が「自分が弱いだけかも」と思い込みやすく、声を上げにくい構造があります。

国の側でも動きがあります。2025年11月には、こども家庭庁が学校でのハラスメントの「重大化防止留意事項集」を初めて公表しました。「昔からあること」ではなく「向き合うべきこと」へ——社会の見方は、確実に変わってきています。

「指導」と「ハラスメント」の線引き

ここがいちばん悩ましいところだと思います。厳しい指導がすべてハラスメントになるわけではありません。分かれ目をひとことで言うと——行動を正すのが指導、人格を傷つけるのがハラスメントです。

これは指導(正すのは行動)この一線を越えたら(傷つくのは人格)
ミスの原因を具体的に指摘して、直させる「才能がない」「お前には無理」「やめちまえ」
危険なプレーや規律違反を、その場で止める罰として過酷な反復練習をさせる・水を飲ませない
必要な練習の意図を説明して取り組ませる「伝統だから」で理不尽な要求を続ける
選考の基準を説明して、足りない点を伝える試合出場を「気に入るかどうか」の道具にする
呼んで個別に注意するみんなの前で嘲笑する・見せしめにする

そして、体罰についてははっきりしています。体罰は学校教育法第11条で明文で禁止されていて、けがの有無を問いません。「愛のムチ」「指導の一環」という言葉は、法律の前では理由にならないのです。

実際に「事件」になった実例

「学校の中のことだから」で済まされなかった実例を、少し一般化してご紹介します。

実例1:部活の顧問が平手打ち、生徒がけが

指導中に生徒を平手打ち・殴打し、鼓膜を損傷させるなどのけがを負わせた顧問が、刑事事件として立件された例が複数あります。「指導の一環だった」という説明は、免責の理由になりませんでした。

傷害罪けががなくても暴行罪
実例2:「やめちまえ」「お前なんかいらない」の繰り返し

顧問が存在を否定する暴言を繰り返し、生徒が不登校・精神的な不調に。裁判で損害賠償が認められた例があります。手を上げていなくても、言葉だけでも、責任は問われ得ます。

民事で賠償責任
実例3:指導や進路相談を口実にした性的な接触

教員が2人きりの場面を作って生徒の身体に触れるなどの行為に及び、懲戒免職に加えて刑事事件になった例があります。

不同意わいせつ罪

実例から見えてくること

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生徒のあなたへ。保護者の方へ。そして、教える立場の方へ

いま、つらい思いをしている生徒のあなたへ

まず伝えたいのは、「自分が弱いからだ」と思わなくていいということです。「指導だから」と言われても、あなたの心や身体が悲鳴を上げているなら、その感覚のほうを信じてあげてください。学校の先生に言いにくければ、学校の外にも、無料で話せる場所があります。

保護者の方へ

お子さんが部活や学校の話をしなくなった、朝になると体調を崩す——そんなサインに気づいたら、まず「それはつらかったね」と受け止めることから始めてみてください。「なんで言い返さないの」「そのくらい我慢しなさい」は、事実を話す扉を閉じてしまいがちです。相談先は、スクールカウンセラー、教育委員会の相談窓口、上のSOSダイヤルが使えます。学校への相談は、日時・言われた言葉・そのときの様子をメモにしてから行くと、話がずっと進めやすくなります。

教える立場の方へ

最後に、先生や指導者の方へ。責めたいのではありません。熱心な方ほど、自分が受けてきた指導を、そのまま再生産してしまうことがあります。あの頃は誰も疑わなかった方法が、今の基準では一線を越えている——そういう時代の変わり目に、いま私たちはいます。「行動を正しているか、人格を傷つけていないか」。迷ったとき、この物差しをひとつ持っておくだけで、指導の熱意はそのままに、伝わり方が変わっていくはずです。

― ハカル

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